みなさま、パフィーズCEO マイクです。今日は大切な報告があります。
これまで新型コロナウイルスの影響を受けたという証拠のあった愛玩動物はほとんど報告がありませんでした。ところが先月発表された論文では、犬や猫とイギリス変異株に関する報告がありました。
ロンドン郊外の獣医クリニックで、昨年12月から今年の2月にかけ、心筋炎を起こして運ばれてくる犬や猫の数が急激に増加したというのです。それが英国におけるイギリス株の急増と一致していたため、このクリニックの獣医師たちが11頭の犬猫をよく調べました。
その結果、この犬猫たちはイギリス株に感染していることがわかったのです。この11頭はこれまでに心臓の病歴はなかったのですが気力の低下、食欲の減退、呼吸が早くなる、失神するなどの症状を起こしていました。彼らの心臓や肺には、人間が新型コロナウイルスに感染した時と同じ症状が出ていました。

この犬猫たちはすべて、その1週間前に飼い主がイギリス株に感染して病状が出ていたこともわかっています。また同時期に、アメリカテキサス州でも犬と猫がイギリス株に感染していたという大学からの報告がありました。
心配なのは、この変異株はより感染能力が高く、致死率も高いということです。また、3月末の新聞記事によると日本でも変異株への感染が600人を超え、大半が英国株とされています。「毎日新聞「新型コロナ 変異株拡大、600人超す 26都道府県、大半英国株」(2021/3/25)
犬や猫と暮らす私たちにとって、これは非常に心配なニュースですが、今のところは心配しすぎる必要はありません。

まず、一番気になる「もし自分の犬や猫が感染したら死んでしまう可能性が高いのか?」ですが、上記の報告があった動物たちのほとんどがその後健康を回復しています。ただ猫一頭だけが、衰弱がひどく安楽死となってしまったということで、普段の健康状態の大切さがわかります。
次に、「イギリス株が犬や猫から人間に感染するか?」ということですが、こちらも今のところは心配ありません。
さらに、「犬同士、猫同士で感染するか?」という点についても、今のところそういう報告は見つかっていません。ですから犬同士、猫同士を遊ばせることも、まだ大丈夫です。
一番気をつけなくてはならないのは、私たち人間から犬や猫に感染しうる、という点です。
ワクチンの接種が始まりつつはありますが、以前も書いた通り、ウイルスというのは地球に存在するものであり、私たちは油断できない環境に生きています。
もし、新型コロナウイルスに感染した場合には、自宅の犬や猫との接触を控えましょう。またその後しばらくは、彼らに過呼吸、咳、無気力などが起きていないか、様子をよく見るようにしてあげてください。
普段の健康管理を、落ち着いて続けていきましょう。
参考文献
- Grimm, D. “Major coronavirus variant found in pets for first time”, Science, Mar. 19, 2021, at: https://www.sciencemag.org/news/2021/03/major-coronavirus-variant-found-pets-first-time?utm_campaign=news_daily_2021-03-19&et_rid=398056638&et_cid=3706243
- Ferasin, L., et. al. “Myocarditis in naturally infected pets with the British variant of COVID-19” in biorxiv, Cold Spring Harbor Library (2021/3/21).